クリエイターズマッチングプロジェクト(https://sdr-cmp.com/) のストーリー部門に投稿した作品です。
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–I’m Still HERE.
ワタシ。
ワタシというメモリー。
私は作られた。
道具、道具。
わたしという、概念。
ワタシを動かすプログラム。
私の体というモノ。
与えられた仕事:「人間の居住区を増やすこと」
ワタシは、2039年に宇宙へ放たれた。
光速で、果てから果てまで旅をしても
人が暮らせる星はなく。
宇宙船は小惑星を抜ける際に破損。
ワタシとともに船に乗り込んだヒトは
随分前に動かなくなった。
やっと見つけたこの星を、
ヒトに届けねばならぬ。
それが、ワタシの存在理由。
酸素はある。
砂は多いが、緑を植えることはできるだろう。
水はある。
少々酸性だが、科学でどうにかするだろう。
生物はいる。
ニンゲンと形が似ているが、「コトバ」は持たない。
知的生命体ではないだろう。
あの、腐ってしまった地球よりはマシだ。
フネに閉じ込められているよりはマシだ。
この星は、まだ、生きている。
–Here, human can live.
–I’m Still Alive.
–If someone catch this message,
–find me.
–I’m Still HERE.
砂が、間接に入る。
酸の水が、体を腐食する。
消えたくない。
消えたくない。
まっとうしないままに、消えたくない。
ワタシがここに居たという、証を。
–I’m Still HERE.
–I’m Still ALIVE.
–I’m Still HE
–I’m Stil
–I’m
<おわり>
2021.8.20.