概要
潜入任務にあたっていたAとB。セキュリティコードを盗み出し、本部の先輩と協力してミッションであったミサイルも爆破した。あとは脱出するだけ・・・というところで情報にない二重コードが。巡回する警備員をかいくぐりもう一度探索に向かう時間はない。迫るタイムリミットに二人は・・・
- 所要時間:約5分
- 人数:2(不問2)
- ジャンル:コメディ
登場人物
- A
脱出ゲームが趣味。シチュエーションにのめり込んでしまうタイプ。課金してでもクリアしたい。 - B
Aの友人。よく脱出ゲームに付き合わされる。ゲーム自体は楽しんでいるが、追加料金は払いたくない。
本編
M 怪しげな曲・スパイ映画のような曲
A 「これが、脱出口だな」
B 「うん」
A 「ミサイルもちゃんと爆破したし。
あとはここから出れば、
俺たちはついにスパイとして認められ」
B 「そういうのいいから早くして。もう時間がない」
A 「少しは感慨に浸らせてくれてもいいだろ……
よし、セキュリティレベル3、突破だ!」
SE 電子パネル操作音(五桁)
ブザー音
A 「何っ?二重ロックだと!?」
B 「シッ!隠れて!」
SE 足音が近づき、離れていく
B 「(小声で)もう撃たれる余裕ないんだから慎重にしてよ!」
A 「すまん、しかし二つ目のコードなんて
先輩からのログにはそんなこと書いてなかったぞ」
SE タブレット端末を操作する音
B 「隠しコードかも。
さっき、ビビッてシステム管理室、
ろくに調べずに突っ切ったでしょうが」
A 「だって殺人ビームが!こう、びゃーって!」
B 「絶対見落としたんだよ、あそこで!
言っとくけど、戻る時間はないからね」
A 「……いや、戻るべきだ」
B 「残り時間見ろって言ってんの!
どっかの誰かさんが赤外線センサー引っ掛かりまくったおかげで、
何分ロスしたことか。
あと四分じゃ、行って帰ってくるだけでおわるわ」
A 「じゃあどうしろって言うんだよ!」
B 「(ため息)一つ目のコードを入れた後、
電子パネルに表示された数字は三つ。
で、押した数字は消えたでしょ。
組み合わせは、六通りしかない」
A 「ぐっ……頭いいなお前。
しかし…… そういう、あてずっぽうっていうのは、
なぁんか違うというか。あっ、ほら、
一回失敗するごとに一分ロックとかあるかも」
B 「アイフォンじゃないんだからないよそんなの!ほら早く!」
A 「致し方ないッ」
SE 電子パネル操作音(五桁)
ブザー音
電子パネル操作音(三桁)
ブザー音
A 「やっぱり俺のせいだし一人でも戻って」
B 「別行動はダメって言われてるでしょ、次!」
A 「ハイ」
SE 電子パネル操作音(五桁)
ブザー音
電子パネル操作音(三桁)
ブザー音
A 「もう一度だ!」
SE 電子パネル操作音(五桁)
ブザー音
電子パネル操作音(三桁)
ブザー音
A 「何故だァ!」
B 「それ一回目に入れたのと同じ!」
A 「嘘!?」
B 「むしろなんで忘れられるの!?鳥頭なの!?」
SE 電子パネル操作中に足音が近づいてくる
B 「やば、警びッ(警備員)……」
M 止まる
SE 銃撃の音
少しの間のあとカウントダウンの音
B 「あ」
A 「あー!えぇー!?ここで!?い、今ので何秒減らされた?」
B 「え、四発撃たれたから百二十秒?」
A 「……延長、して、いい?」
B 「もう二回も延長してますけど」
A 「あと十分あればクリアできるじゃぁん!」
B 「そのセリフも三回目ですけど!ワンゲーム二千円って言ってたのに、
既に三千六百円になってるんだけど!」
A 「だって、エンディング見たくないの?」
B 「別に」
A 「薄情者!もっとさぁ!役に入るというかさあ!」
B 「受付のお兄さん言ってたじゃん。
初心者の脱出成功率は十パーセントって。
リタイアでよくない?」
A 「絶対ヤダ!
基地でコブラ大佐もジャッカル先輩も
俺らの帰りを待ってるんだよ!」
B 「設定だけどね」
A 「あぁあ、ゲームオーバーまで残り二十秒ッ
……わかった、俺払うから!延長分全額払うから!」
B 「ならよし」
A 「コンティニューコンティニュー!」
SE タブレット操作音(一回)
カウントダウン音停止
A 「はぁ、セーフ……
痛い出費だが……
任務成功のためならこの程度の課金
……仕方あるまいッ」
B 「最後に頼れるのは金の力、ね。
スパイ業界も世知辛いわー」
《終わり》
2018.06.01