概要
貿易港カサンドラにて初任務をこなすブラック・ペレグリン号の3人。ところが、集合場所にアネットが現れない。ギクシャクした関係性、組んだばかりのチーム。それでも、仲間は、仲間だから。
※【伝声管】コップとか使うと楽しいかもしれません。おすすめは桃缶とかタンブラーといった金属製のもの。
- 所要時間:約30分
- 人数:5
比率 2:3 - ジャンル:ファンタジー、スチームパンク、冒険、ジュブナイル
登場人物
※キャラクター詳細は裂雲の翼トップページをご確認ください。
- エミリア
猪突猛進ガール。飛行士。 - ルディアス
紳士で気弱。整備士。 - アネット
貴族のお嬢様。航空士。 - ジェシー
戦空艇部隊(せんくうていぶたい)・隊長。軽い。ナンパ男。27歳。顔は良い。顔は。 - ロベルタ
カサンドラ中央区のカフェ・トキワの店長。いい女。年齢不詳。
本編
【前回までのあらすじ】(読み上げてもいいし読まなくてもいいよ!)
新・世界地図の制作を任された新米空艇士たち。
初任務中に姿を消したアネットを探すため、貿易港カサンドラを警備しているジェシーと共に、エミリアとルディアスは街中を走り回る。
ついに居場所をつきとめたものの、アネットをさらった船は出航してしまっていた!
しかし戦空艇部隊・隊長であるジェシーの指示によりなんとか敵の船を足止めすることが出来たのだった。
■モノローグ
ルディアス:かつて、精霊が暮らす時代があったそうだ。
ルディアス:火、風、土、水。
ルディアス:魔法と呼ばれた技術は失われ
ルディアス:四つの力をつかさどる精霊は姿を消した。
ルディアス:残されたのは、新しい環境に適応した動物たちと、精霊の一部分を引き継いだ、歪な怪物だけだった。
■カフェ・トキワ 夜
ロベルタ:あの子たち、遅いわね。……もう一回、お湯、沸かし直さないと。
ドアが開き、四人が入ってくる。
エミリア:ロベルタさぁん!
ジェシー:はぁー。とんだ時間外労働だぜ、ったく。
ロベルタ:あら!
ルディアス:ただいま戻りました!
ロベルタ:おかえりなさい、みんな! ああ、ルディオくん、無事? 怪我はない?
ルディアス:はい、誰も怪我はありません。ご心配をおかけしました。
ジェシー:姉さん、腹減ったぁー、飯くれ、飯ー。
ロベルタ:すぐ用意するわ、ジェシーさん! それで、アネットちゃんは?
ジェシー:あ? どこいった? ああ、なんでそんなとこ突っ立ってんだよ。
アネット:……。
ルディアス:アネットさん、入ってきたら?
アネット:……あの。
エミリア:なんだよー、早く飯にしようぜ。
アネット:私、ご迷惑を、おかけして……。
ルディアス:迷惑だなんて思ってないよ!
アネット:でも、依頼、完了できてないし、今日一日無駄にしてしまって、それから出航規則も破らせてしまったし、あと……。
エミリア:ああ、迷惑だ!
アネット:う。
ルディアス:エマ! ちょっと!
エミリア:あんたが自分勝手に行動したからこうなった。反省しろ。
アネット:……分かりました。明日、朝一でギルドに行って、手続きをしましょう。私は、今日のお詫びに、ブラック・ペレグリンを抜けます。
エミリア:は?
アネット:航空士は、申し訳ないけど他の人を……。
ルディアス:いやいやいやいや、なんでそうなるの!?
アネット:迷惑をかける人間は、要らないでしょう? 利用価値のない人員は切り捨てないと。
ルディアス:え、アネットさん?
アネット:そもそも、どうして助けに来たんですか。
アネット:……見捨ててくれて、よかったのに。
エミリア:あぁ? なんだって?
ルディアス:……それ、本気で言ってるの?
アネット:ええ。だって、それが普通でしょう?
沈黙。
ルディアス:……。
エミリア:……ふっざけんなよ。
アネット:え?
エミリア:あた、んん、俺って、そんな非道に見える?
ルディアス:アネットさん、それは、ちょっと、ひどいよ。
アネット:……。
ロベルタ:ねぇ、ジェシーさん、なにか助けてあげたほうが……。
ジェシー:しー。こういう時、大人は手ぇ出しちゃだぁめ。……チャンス、なんだからさ。
ルディアス:僕たち、チームでしょ? 仲間、だよね?
アネット:仲間…? 私たちは、業務上の利害関係の一致により、行動を共にするよう契約を結びました。私には船が必要で、あなたがたには航空士が必要だった。それだけではありませんか?
ルディアス:そんな、えぇ……?
エミリア:ちがうな。……俺たちはチームを組んだ。同じ船で眠り、同じ飯を食った。
アネット:あなた、私を嫌っているのでは?
エミリア:ああ、嫌いだね。でも、仲間だ。仲間は、助ける。助け合う。好きでも嫌いでも。
ルディアス:そうだよ。利用価値とか、迷惑とか気にしなくていいんだよ。仲間なんだから。
エミリア:むしろ迷惑もかけあうもんだ。
アネット:……理解できません。
エミリア:理解しろ。船長命令だ。
ルディアス:命令はちょっと……。
アネット:だって、お母様も、レオンおじ様もそうやって切り捨ててたもの。だから、誰にも捨てられないように、主席を取って、何も間違えないようにってやってきたんです。
エミリア:それはあんたの家のルールだろ。
ロベルタ:(小声)レオンおじ様って?
ジェシー:(小声)ハーシュマン家・現当主。ロッカさんの兄貴。
ロベルタ:(小声)お兄様がいたのね。
ジェシー:(小声)ああ、仲はすこぶる悪い。
エミリア:いいか、ブラック・ペレグリンのルールは俺だ。この船では、仲間を見捨てない。もし降ろすようなことがあれば、よっぽどの理由があって、そうするしかなくて、みんなが納得したときだけだ。
ルディアス:今日のことなんて、よっぽどのことには入らないよ。誰も死んでないし、船も壊れてないし、何も盗られてない。……ね、アネットさん。だから、辞めるなんて言わないで……。
アネット:でも……。
エミリア:あんたの家で何があったかなんて、どう育ったかなんて知らない。あんたはもう、ブラック・ペレグリン号の航空士、アネット・ハーシュマンなんだよ。それでも降りるってんなら、俺を納得させてからにしな。
ルディアス:あのぉ、エマ? いつから俺様キャラになったの?
アネット:……じゃあ、どうやって、お詫びしたらいいんです。
ルディアス:お詫びなんて、要らないよ。
アネット:どうやってこの罪を償えばいいんです?
エミリア:そんなの簡単だろ。わかんねぇの?
アネット:う、わかりません。
エミリア:たー、これだからお嬢様はよー。ごめんなさいと、ありがとう。だろ?
沈黙
エミリア:ルディ、俺、変なこと言った?
ルディアス:ううん。言ってない。あってる。すごいあってる。
ジェシー:ロベルタさん、飯まだ?
ロベルタ:んー、もうちょっとでできるかな?
ジェシー:おー。だとよ、ガキども、飯、できるまでに終わらせろよな。
アネット:え、う、えっと……勝手な、ことをして、ご、ごめん、なさい。
エミリア:おう、反省しろ。
アネット:助けてくれて、あり、が、とう。
ルディアス:どういたしまして。
アネット:これだけで、いいの?
エミリア:そうだよ。
アネット:本当に?
ルディアス:うん。無事でよかった。
エミリア:ほんとだよ。叩かれたって言ってた首は?
アネット:だ、大丈夫。
エミリア:んじゃ、飯食おうぜ。もう疲れたし、はらぺこだよー。
ルディアス:あ、ロベルタさん! なにか手伝うことはありますか?
ロベルタ:あら、じゃあカウンターにお皿をだすから、テーブルのほうに並べてくれる?
ルディアス:わかりました! ほら、エマも!
エミリア:えぇー。
ジェシー:な、お前んちの常識は変だって、昔言った通りだったろ。
アネット:うん、そうかも。
ジェシー:もうあの家に縛られなくたっていいんだぞ。
アネット:そうなの、かな。いいのかな。
ジェシー:ああ。お前から歩み出す番だ。
アネット:……うん。
ジェシー:なんだよなー、俺だってずっと、あの家から出るように散々手ぇ引いてやったってのにさ。
アネット:あの子、エマって、すごく変なんだもん。
ジェシー:わかる。クソガキだし。
アネット:すぐキレるし。でも、思ってることはいつも言葉の通りだから、余計な事考えなくて済むのよね。
ジェシー:ふーん。
アネット:あと、方向音痴。
ジェシー:あぁ? 飛行士だろ?
アネット:うん。
ジェシー:じゃあ、お前がついてってやんねぇと。
アネット:うん。
数分後。食事を囲みながら。
ルディアス:雲の上におわします、大いなる光よ。今日、みな無事に帰ってこられ、食事をいただけることに感謝します。
エミリア:お祈りなんていいからはやく食おうぜ……。
アネット:ここに用意されたものを、我ら、地を這うべき者どもの糧とすることをお許しください。
エミリア:はぁー。光の届く場所すべてに幸せがありますように。ソル・エナ。
ジェシー:ソル・エナ。さ、食おう。
ロベルタ:ええ、たくさん食べてね。エマニュエルくん、パンは?
エミリア:エマでいいよ。丸パンがいい。
ロベルタ:どうぞ。ふふ、女の子みたいな愛称ね。
エミリア:ごふっ。
ルディアス:ええええっと、このスープすっごくおいしいですね!
ロベルタ:え? ありがとう、ルディオくん。ただの玉ねぎスープだけど……。
ジェシー:アレ使ってんだろ、何時間も炒めるやつ。
ロベルタ:ええ、そうよ。ごめんなさいね、いつもと一緒になってしまって。
ジェシー:んや、美味いよ。いつでも美味い。俺は毎日でも飲めるくらい好き。
ロベルタ:あらやだ、もう通常運航ね。……あの、アネットちゃん?
アネット:……なんですか。
ロベルタ:お口に、あわなかったかしら。
アネット:……別に。
エミリア:はぁ、今度は何? まだなんかあんの?
ルディアス:エマ、あんまり責めないの。
ジェシー:自分の口で言えよ。そんで飯は食え。もったいないし、ロベルタ姉さんに失礼だろ。
ルディアス:アネットさん、教えてくれる?
アネット:……マリー・スミスについて。
ジェシー:ああ、そうだった。結局見つかったのか?
アネット:いいえ。
ルディアス:あ! すっかり忘れてた!
ジェシー:おぉ、どうした?
ルディアス:アネットさんが探してた、マリー・スミスって人。ロベルタさんなんじゃないですか?
ロベルタ:えっ!?
ジェシー:あぁ?
エミリア:何言ってんだよ、ルディ!
ルディアス:パニックになってたからスルーしちゃったんですけど、気になったことがあって。……あの、アネットさんから、マリー・スミスを探してるって聞いて、ロベルタさんは、知らないって答えたんですよね。
ロベルタ:え、ええ。
ルディアス:僕たちにそれを教えてくれたとき、「心当たりがありすぎて」って言ってたと思うんですけど……。
ロベルタ:あ、言ったわ、ね。
ルディアス:心当たりがありすぎたら、知らないとは言わないと思うんです。その中の誰かを上げるとか、どういう人か聞くはずなんですよね。
ジェシー:あ、郵便局員の彼女……自分の知り合いかもしれないから特徴をなんとかかんとかって言ってたな。
ルディアス:そう。でも、ロベルタさんは、「知らない」って答えたんです。
ロベルタ:……。
ルディアス:それって、アネットさんが探している、「マリー・スミス」は存在しないってわかってたからじゃないですか?
黙っているロベルタ。
アネット:……マリー・スミスの名前で、手帳を送ったのは、あなたなの?
ロベルタ:ええっと……。
ジェシー:その、手帳のせいで狙われたんだろ?
アネット、手帳を鞄から取り出す。
アネット:ええ。確かに、この手帳を探していたようでした。
ルディアス:これって、貴重なものなのかな? 歴史的価値があるとか?
アネット:これは、父の手帳です。
エミリア:え!?
アネット:父、ロッカと、ジーンおじ様の、航行記録です。
エミリア:え!? そ、そんな、そんな、宝物じゃん!
アネット:この手帳、届いたときに、ほんのすこし紅茶の香りがしたんです。
ロベルタ:紅茶の、香り。
アネット:父が以前、旅先から送ってくれた紅茶と同じ香りが。
アネット:そして、ここで頂いた紅茶と同じ。
アネット:マリー・スミスは、ロベルタさん、ですね?
エミリア:においでって、犬か……?
ルディアス:シッ。
アネット:父の行方を知っているんですか。
沈黙。
ロベルタ:ええ、そうよ。あなたにその手帳を送ったマリー・スミスは私。
ジェシー:姉さん、じゃあ、うちの親父の行方も知って(るのか)
ロベルタ:(遮り)でも、私はロッカくんとジーンくんが今どこにいるかは知らない。
エミリア:ロッカ・ハーシュマンとジーン・ジェイクスが消息不明になったのって、六年前だろ?
アネット:そう。それまでは旅先から手紙が届いていたんだけど、大鼓動のあと、行き先がわからなくなってしまった。
エミリア:手帳が届いたのはいつなんだ?
アネット:ひと月前。
エミリア:じゃあロベルタさん、二人と会ってるってこと?
ロベルタ:いいえ。はあ、他のマリーに怒られないかしら。私。
ジェシー:他のマリー?
ロベルタ:私が最後にロッカくんたちに会ったのは、大鼓動の一年前。詳しいことは話してくれなかったわ。
ロベルタ:ただ、マリー・スミスという人から手紙や荷物が届いたら、マリー・スミスの名前でアネットちゃんに送ってほしいって。
エミリア:なんでわざわざ名前を変えて……?
ロベルタ:おそらく、マリー・スミスは何人もいるんだと思うの。私宛にこの手帳が届いたのは、ふた月前。ルーンベルの、マリー・スミスから。紅茶の茶葉に埋まって届いたわ。茶葉は最後のマリーにって、つまり私宛てだったけど。
ルディアス:ルーンベルって、西端の開拓地・ルーンベルですか?
ロベルタ:ええ。
ジェシー:なんでそんな七面倒くさいこと……。昔は俺が手紙やら土産やら運ばされてたのに。
ロベルタ:あなたを守るため、じゃないかしら。
ジェシー:守るぅ?
ロベルタ:ロッカくんが言ってたの。「追われてるから、もう会いに来れない」って。
アネット:追われている……?
ジェシー:一体何をやらかしたんだか、親父たち……。
ロベルタ:親族とコンタクトをとらないためにこんなこと考えたのよ、きっと。
アネット:お父様……。
少し沈黙。耐え切れなかったエマ、声を上げる。
エミリア:あの!
ロベルタ:え、あ、どうしたの? エマくん。
エミリア:て、手帳、中身、見て、みたいんだけど。
アネット:どうぞ。
エミリア:あ、あ、ありがと……。
ロベルタ:エマくんの様子、変じゃない……?
ルディアス:ロッカさんとジーンさんの熱狂的なファンでして……。
ロベルタ:なるほど。
ジェシー:そんで、お前を攫ったのは、結局イースター貿易機構なのか?
アネット:ええ。貿易機構ルーンベル支局に、引き渡される予定だったみたい。
ルディアス:手帳だけじゃなくて、アネットさんも?
アネット:そう。
エミリア:なあ、アネット。
アネット:はい?
エミリア:ぜんっぜん読めないんだけど。
ルディアス:どういうこと?
エミリア:字が、汚すぎて。暗号か?
アネット:そうですか? 普通に読めますが。
ジェシー:あぁ、ロッカさん、そういや左利きだったなぁ。
エミリア:え、これは? なに?
アネット:ビーとエフが合体してます。
エミリア:ここの文章は?
アネット:ああ、これ鏡文字ですね。
エミリア:そうはならないだろ!
エミリア:えぇ……字、きたな……えぇ、夢が……壊れる……。
アネット:少し癖はありますが、読めませんか?
エミリア:読めませんが? くそぉ……世界一周を成し遂げた、伝説の空艇士の、航行記録が、読めないだなんて……! これがあれば、俺たちも、世界一周、できるかもしれないのに!
アネット:読めても途中からですし、世界一周中の航行記録じゃないですよ、これ。
エミリア:へ!?
ロベルタ:途中?
アネット:二冊目みたいなんです。ほら、ここ。皮表紙に焼き印が。
ロベルタ:え!? 私のところには、これしか届かなかったわよ。
アネット:やはりそうですか。少なくとも一冊目がどこかにはあると思うんですが。
ルディアス:だからじゃない!?
ジェシー:おあっ、急にでかい声出すなよ。
ルディアス:あ、ご、ごめんなさい。ほんとにこれ、もしかして、なんですけど、手帳だけ奪って持って行くはずが、中を見て、全然読めなかったからアネットさんごと攫おうとした、のかなって。
ジェシー:短絡的ィー。だが、一理あるな。
アネット:しかし手帳を奪って何がしたいんでしょう。
ジェシー:んー。浮遊大陸の探索、とか?
エミリア:まっさかー。
ジェシー:だよなー。
アネット:……なるほど?
ジェシー:え? 見つけて、ねえ、よな?
ロベルタ:見つけてたら大事になってるわよ。
アネット:このページ、見てください。
ルディアス:ふむ。
しばし沈黙。
アネット:つまり、お父様たちは、
エミリア:だから読めねんだって!
アネット:ああ、失礼。「世界中を見てきた僕らでさえ、浮遊大陸は見つけられなかった。でも、じいちゃんのスケッチは、嘘じゃないはずなんだ。もう僕らが行ってない場所は、一つ。……大雲壁(だいうんへき)の向こう」
エミリア:大雲壁(だいうんへき)? って?
ジェシー:東の果てにある、雲の壁だよ。誰も突破したことがないって言われてる。
エミリア:へ、へー。
アネット:つまり、お父様たちは大雲壁に挑戦して……。
ジェシー:死んでる可能性もあるな。
アネット:……言わないで。
ジェシー:六年も顔出さなけりゃ俺にとっちゃ死んでるも同然だがな。
アネット:きっとどこかで生きてる。
ルディアス:アネットさん……。
アネット:生きててくれなきゃ、この恨み、どこにぶつけたらいいの?
ルディアス:アネットさん!?
アネット:わたし、あのクソお父様を一発殴らなきゃ気が済まない。
ルディアス:こっちもキャラ壊れてるよー、おーい。
アネット:あら、ごめんあそばせ。
エミリア:取り繕ってもおせーんだよ。
ジェシー:つまるところ、お前たち、次の行き先は決まったのか?
エミリア:どうすんだよ。
アネット:え?
エミリア:進路は、航空士が決めんだろ。
ルディアス:最終決定は船長だけどね。
アネット:え、あ……。じゃあ、ルーンベルへ。
エミリア:そうこなくっちゃな。
エミリア:ブラック・ペレグリン号・乗組員 諸君! 次の目的地は、西端の開拓地・ルーンベルだ!
ルディアス:おー!
アネット:お、おー?
ロベルタ:ふふ、問題なさそうね? ね、ジェシーさん。
ジェシー:ガキは成長が早くて叶わん。
ロベルタ:あら、ジェシーさんだってお若いじゃない?
ジェシー:ああもちろん。若くて、元気いっぱいさ。
ロベルタ:でもねぇ、落ち着いた大人の魅力も必要よ。ロッカくんみたいに。
ジェシー:え? あれ? そういやロベルタ姉さん、ロッカくんって呼び方、え?
■【次回予告】やってもやらなくてもいいよ!
ジェシー:ロベルタ姉さん? え? 年いくつ?
ロベルタ:女性に年齢を聞くなんて、サイテー!
エミリア:ちょっとは素直になれたんじゃねーの?
アネット:ええまあ。でもべつに仲良くなったつもりはありません。
エミリア:この、アマァ!
ルディアス:アネットを救い出した僕たちは、ロッカ・ハーシュマンの手帳を追って、次の目的地、ルーンベルへと向かう!
アネット:次回。「それは焦げ付いた嫉妬の炎」お楽しみに。
【再出発をおたのしみに】
2021.12.25.