お引越し中につき、あちこち工事がおわっておりません(特にショップ)。ネット声劇・個人での練習以外でご利用の際はご連絡くださいませ。

裂雲の翼『#2 それは歓迎の一杯の香り』【♂2:♀3】25分

概要

貿易港カサンドラにて初任務をこなすブラック・ペレグリン号の3人。ところが、集合場所にアネットが現れない。ギクシャクした関係性、組んだばかりのチーム。それでも、仲間は、仲間だから。

※【伝声管】コップとか使うと楽しいかもしれません。おすすめは桃缶とかタンブラーといった金属製のもの。

  • 所要時間:約30分
  • 人数:5
    比率 2:3
  • ジャンル:ファンタジー、スチームパンク、冒険、ジュブナイル

登場人物


※キャラクター詳細は裂雲の翼トップページをご確認ください。

  • エミリア
       猪突猛進ガール。飛行士。
  • ルディアス
    紳士で気弱。整備士。
  • アネット
       貴族のお嬢様。航空士。
  • ジェシー
    戦空艇部隊(せんくうていぶたい)・隊長。軽い。ナンパ男。27歳。顔は良い。顔は。
  • ロベルタ
    カサンドラ中央区のカフェ・トキワの店長。いい女。年齢不詳。
  • 受付
    ジェシーと兼ね。男性。王立空艇士ギルド・カサンドラ支部受付のおっさん。(ジェシーと演じ分けできるように語尾・話し方などいじってもらってかまいません。)

本編

【前回までのあらすじ】(読み上げてもいいし読まなくてもいいよ!)

訳あって身分を偽り、飛空艇コンテストレースに参加したエミリアとルディアス。
見事優勝し、空艇士ギルドへ登録に向かうも、航空士(こうくうし)がいないと船の登録が出来ないと、書類を突き返されてしまった!
そんなとき、未登録の二人に「依頼」が入る。
六年前、世界を混乱に陥れた「大鼓動(だいこどう)」後、漂流島(ひょうりゅうとう)となった島を見つけ、
新・世界地図を作成するという大役を任された航空士・アネットをチームにいれ、共にこの任につくという依頼だった!

■モノローグ

アネット:地殻から浮き離れた大地を削り、ヒトは火によって、自然を制し恐怖を克服する。

吐き出す雲と黒煙は、やがて大空を覆い、海を酸に変えた。

これは罰なのだ。

灰色の天井のもと、太陽を忘れ、地中に生きるノームたちは、
いつか、その翼で雲を裂くことを夢に見て
空飛ぶ船で、島々を渡る。

■飛空艇内

ルディアス:(伝声管)エマ! 前方二時方向ハーピィの群れ、見えてる? 

エミリア:見えてる、見つからないように進む。 エンジン止めて、帆を張って!

ルディアス:(伝声管)了解、浮遊石へのパワー供給五十パーセント、エンジン内圧下げるよ。

アネット:もっと低く飛びましょう。ルディさん、少し先に海水温が高いエリアがあるから上昇気流に乗れます。

ルディアス:(伝声管)わかった! ねえ、僕こんな安全運航はじめて! 

アネット:これが普通ですよ。

エミリア:荒っぽくて悪かったわね……! こちとらお上品にお勉強なんてしてないのよ。

アネット:ではどこで飛行を習ったんです?

エミリア:……。

アネット:なるほど。

エミリア:何も言ってないわよ!

アネット:ええ。理論も体系も知らぬ我流だということが分かりました。

エミリア:……ちゃんと教わったわ!

アネット:誰から?

エミリア:それは……言えない。

アネット:言えないということは、ろくでもない筋の出ということです。……これは先が思いやられますね。空図も、航空術用の計器もなく、これまでどうやって飛んでいたんだか。

エミリア:風が読めれば道具なんていらないでしょ?

アネット:これだから野生児は。

エミリア:なんですって!?

アネット:ふん。

ルディアス:(伝声管)……確かに、アネットさんから見たら、多分ろくでもない生活をしてきたよ。

エミリア:ルディ!

ルディアス:(伝声管) でも、最初からそうだったわけじゃないし、そうするしかなかったし、僕たちにとってはそれが普通だったんだよ。……僕たちは必死に生きてきた。それだけだ。

アネット:……。

ルディアス:(伝声管) ただ、航空術を知らなくて困ってたのは確かなんだよなぁ……。今度、風の読み方とか、空図の書き方とか、よかったら教えてくれる?

アネット:……ええ。理解していただいた方が私もやりやすくなります。

エミリア:っでも! 行き先を決めるのはあたしだからね! 今回は、しかたなく、 あんたに従っただけ。

アネット:はぁ。 

エミリア:勝手に依頼を受けるなんて信じらんない! しかもただの配達任務を十五件も! そんなの空艇士の仕事じゃないわよ!

アネット:いいえ、立派な仕事です。あなた方は駆け出しで資金がない。ギルドからの支援金は最低限です。カサンドラは貿易港ですから、カンタンで、まとめて受けられる配達任務がたくさんあります。まずは自分で稼がないと。

エミリア:あなた方って、あんたもチームの一員だからね! そんでもってあたしが船長! リーダー!

ルディアス:(伝声管)ケンカしないでよぉ……。

アネット:(同時)ケンカなんかじゃありませんよ。

エミリア:(同時)ケンカじゃない!

■貿易港カサンドラ、船着き場。

エミリア:おぉー! カサンドラってこんなに賑わってるの?

アネット:貿易港ですから。

エミリア:すごーい! いろんなお店! 道端で商売するなんて斬新ね。

ルディアス:たしかバザールって言うんだよ。懐かしいなぁ。

アネット:……それでは、手分けしましょう。各自配達が終わりましたら、ギルドのカサンドラ支部受付に集合ということで。では。

ルディアス:えっ、女の子一人は危ないよ!?

アネット:お構いなく。

ルディアス:ちょ、アネットさん! あ、あー、行っちゃった……。大丈夫なのかな。

エミリア:勝手にさせときなさいよ。本人がいいって言ってるんだから。

ルディアス:(独り言)カサンドラの治安、そんなに良くなかったと思ったけど……。

  荷物庫で荷下ろしをするアネット。

エミリア:(ブツブツ)船長のあたしを差し置いて勝手なことばっかりあの女ァ……。……(気づき)あー!

ルディアス:な、何!?

エミリア:あいつゥ、一番軽いの持ってった!

ルディアス:ええ……。

■昼、カフェ・トキワ

ロベルタ:いらっしゃいませ。

アネット:こんにちは。こちら、カフェ・トキワさんでお間違いないですか?

ロベルタ:ええ。そうよ。

アネット:ロベルタさんに、お届け物です。

ロベルタ:あら、お客さんかと思ったわ。郵便屋さん?

アネット:いえ、空艇士です。

ロベルタ:あらあら! 女性の空艇士さんなんて珍しい!

アネット:そうですか?

ロベルタ:私がロベルタよ。中身を確認して受け取り証にサインするわ。好きなところに座ってお待ちになって。

アネット:カウンターでも?

ロベルタ:ええ、どうぞ。えーと、(小声)担当、ブラック・ペレグリン号……。

   ロベルタ、アネットの名前に気づき、間を取り繕うように明るく次のセリフ。

ロベルタ:叔母からの荷物ね。やだ素敵!アスワンのガラス食器だわ!

アネット:これは……。高値で取引される理由がわかりますね。美しいです。

ロベルタ:え~! 使うのがもったいない!

アネット:差し出がましいようですが、道具は使われてこそですよ。

ロベルタ:そうね。 お客様にも楽しんでもらわないと。……はい、待たせてごめんなさいね。受取証よ。

アネット:ありがとうございます。ここ、紅茶を置いてるんですね。珍しい。

ロベルタ:そうなの! オオヤシマからの輸入品らしいわ。

アネット:らしい?

ロベルタ:あぁ、実は知り合いがね。私がカフェをやっていることを覚えてて、旅先から送ってくれたの。だから私が買い付けたわけじゃないのよ。

アネット:なるほど。オオヤシマへの航行はまだ危険が多いと聞きます。距離もありますし。

ロベルタ:そうなのよね。本当はもっと値段も下げたいんだけど。

アネット:……あの、少し時間があるので、注文をしてもいいですか?

ロベルタ:もちろんよ!

アネット:では紅茶とサンドイッチを。

ロベルタ:……コーヒーじゃなくて?

アネット:お金はあります。

ロベルタ:ごめんなさい。見た目で判断してはだめね、お若くみえたもので。

アネット:いいえ、実際駆け出しですから。

ロベルタ:かっこいいわね。じゃあ、早速このガラスのポットで紅茶、淹れてみましょ!

アネット:いいんですか?

ロベルタ:いいに決まってるじゃない。ちょっと待っててねぇ。

アネット:はい。

   調理をするロベルタの様子をしばし伺い話しかける。

アネット:……あの、調理中に申し訳ございません。お尋ねしたいことがあって。

ロベルタ:どうぞー。いつもお客さんとおしゃべりしてるから大丈夫よ。

アネット:このあたりに、「マリー・スミス」という人はいませんか?

   ロベルタ、一瞬手を止め、即答。

ロベルタ:……申し訳ないけど、知らないわね。

アネット:そうですか……。

ロベルタ:お力になれずごめんなさいね。

アネット:いえ、お気になさらず。では、戦空艇部隊(せんくうていぶたい)を見かけたことは?

ロベルタ:ああ、見回りのみなさんね。詰所(つめしょ)は南区にあるわ。一番治安が悪いからね。隊長さんはここに泊まってるけど。

アネット:ここに?

ロベルタ:ええ、うちは二階で宿をやってるの。詰所の仮眠室はベッドが固くていやなんですって。

アネット:はぁ……あいつらしい……。

ロベルタ:お知り合いなの?

アネット:はい。腐れ縁ですが、挨拶くらいしておこうかと。

ロベルタ:あらー、そうなの~! いいわねぇ!

アネット:あの、私たちの間には何も……。

ロベルタ:隊長さんはねぇ、昼間はずっと寝てるわよ。夜の見回りをしてくださってるから。

アネット:そうですか、では夕方ごろまた来ます。一度ギルドに戻らないといけないので。

ロベルタ:じゃあ伝えておくわね。可愛い女の子が会いに来たわよって。

アネット:やめてください。

ロベルタ:やぁだ、冗談よ。はい、サンドイッチ。お湯も沸いたわね。さ、イッツ・ショータイムよ!

アネット:ショータイム?

ロベルタ:紅茶の葉っぱってね、跳ねるのよ。

アネット:はねる。

ロベルタ:ガラスのポットだからきっとよく見えるわ。ほら、見てて……。

■夕方、ギルド、カサンドラ支部

   SE入れる場合は鐘を四回。
   疲れた様子で受付にもたれかかるエミリア。

受付:アネット・ハーシュマンさん?

エミリア:そう、ブラック・ペレグリンの。来てない?

受付:んー、まだ見てねぇなあ。

ルディアス:えぇ? 終わったらギルド集合って自分で言ってたのに……。

受付:終わってねぇんじゃねぇのかい?

エミリア:そんなわけねえんだよ、あいつ一個しか荷物持ってってねぇんだからさぁ。残り十四個、全部、俺たちが配達したのぉ!

ルディアス:どうどう。

受付:まあ、寄り道してんじゃねえのか? 女の子だろ? ここには店もいっぱいあるしな。な、他の分の受取証は揃ってんだろ? 待つんなら、その間に書類書いちまえよ。

ルディアス:ありがとうございます。……あ。

受付:ん?

ルディアス:書類……。

受付:書類。依頼書。

エミリア:どうした? ルディ。

ルディアス:アネットさんが、全部、持って……。

エミリア:ああああああ!

受付:はぁ、ギルド受付は日暮れまでだよ。

ルディアス:え? あ、えっと? 今何時ですか!?

受付:さっき四の鐘が鳴ったからなぁ、日暮れまであと二時間くらいか。

エミリア:はぁー。ルディ、アンタは一旦船を見てきて。

ルディアス:わ、わかった。

エミリア:お兄さん、この町にカフェって何件あんの?

受付:カフェ?

エミリア:依頼された荷物で、カフェへの届けものが一個あったの覚えててさ。俺らが運んでないってことはあいつが持ってったんだ。

受付:カフェは三件だ。北区、東区、中央区。

エミリア:サンキュー!

受付:ああ、そうだ、万が一、やべぇことになったら南区に戦空艇部隊の詰所(つめしょ)があるからそこに頼りな。

エミリア:戦空艇部隊って軍だろ?

受付:戦争してねえときは見回りしてんだよ。この町は人の出入りが多いからな。なぁんか巻き込まれてる可能性もある。

   過剰反応するルディアス。

ルディアス:え、もしかして、誘、拐……?

エミリア:いやいやいや、あいつに限って……んなわけねぇ、よな?

ルディアス:いや、ハーシュマン家は、貴族だ。

エミリア:でもあいつ本家じゃねえだろ?

ルディアス:エマ、急ごう、早く見つけてあげないと。

エミリア:わかったよ! ルディは、船を確認して、中央区のカフェで合流だ。俺は北区と東区を回る。

ルディアス:分かった。

■倉庫

アネット:う……
アネット:ここ……どこ?
アネット:落ち着いて、落ち着いて、現状把握、分析、予測。一緒。飛んでる時とやることは一緒。

後ろから殴られて、どこかに連れてこられた。縛られている。犯人は、私に逃げられたくない。……人身売買?

周りには荷物……う、くさい……火薬のにおい。それから、肥料?

   周りを見渡す。

アネット:ここは、倉庫。ということは、船着き場、南区。
アネット:この刻印……

■夕方、カフェ・トキワ

   エミリア、走ってきた様子でドアを開ける。

エミリア:(息切れ)はぁ、はあ

ルディアス:エマ!

ロベルタ:ああ良かった、お連れさんね。

ルディアス:どうしよう、どうしよう、エマ、あ、あの、船が

エミリア:待って、ちょっと休ませて……

ロベルタ:坊や、お水よ。

エミリア:ありがとうございます。

   エミリア、カウンターに置かれた水を飲む。

ルディアス:エマ、エマ、

エミリア:落ち着け!

ルディアス:だって、

エミリア:ルディ!

ルディアス:ひっ。

エミリア:状況説明。

ルディアス:ごめん。あの、船に戻ったら、船室が荒されてて……。

エミリア:うそ……。

ルディアス:船は無事で、どこも故障はしてなくて、僕らの私物とか、服とかが散乱してて。

エミリア:何がなくなってた?

ルディアス:僕の物は何も。多分、エマの物も無くなってない、と思う。

エミリア:うちの船に金目のものなんざ置いてないしな……。

ルディアス:アネットさんの船室が一番ひどかったんだ……。

エミリア:何かを探してた? 無差別じゃなく、狙ってやられたのか?

ロベルタ:アネットちゃん?

エミリア:え?

ロベルタ:アネット・ハーシュマンさんなら昼間ここに来たわよ。

エミリア:あ、ああそうだ、荷物、ここに届けにきたか?

ロベルタ:ええ。受け取って、紅茶とサンドイッチを食べていらっしゃって。

エミリア:俺らが這いずり回ってる間に優雅にランチかよっ!

ルディアス:そのあとは!? 何時くらいに店を出たんですか!?

ロベルタ:え? そうね、たしか、一時の鐘は一緒に聞いたから、その少しあとかしら。

エミリア:どこかに行くって言ってたか?

ロベルタ:えーと、一旦ギルドに戻るって言ってたわ。

エミリア:ちっ。

   ロベルタに詰め寄るルディアス。

ルディアス:あの、なにか、アネットさんと話をしましたか?

ロベルタ:え、ええ?

   奥の階段から男が降りてくる。

ジェシー:(あくび)ロベルタねぇさんー、腹減ったぁー。

ロベルタ:あら、隊長さん。

ジェシー:いやぁもー、始末書が多くて多くてぇ(あくび)とりあえず、エールとソーセージとバケット……

ロベルタ:あなた、アネットちゃんって知ってる?

ジェシー:アネット? なんで姉さんがアネットのこと知ってんの?

ロベルタ:あなたに会いに来たのよ。

ジェシー:もう来たのか? あぁ……二日後ぐらいかと思ってた……んでどこにいんの?

エミリア:ちょっとまてぇい!

ジェシー:んあ!?

ルディアス:アネットさんと知り合いなんですか!?

ジェシー:なんだ、こいつら。

ロベルタ:ギルドの空艇士さんたちよ。

エミリア:ブラック・ペレグリン号船長! エマニュエル・イアハート! こっちは整備士のルディオ。

ルディアス:アネットさんは航空士として僕たちの船に乗ってるんです。

ジェシー:ほー。で? アネットは?

エミリア:だからぁ!

ルディアス:いなくなっちゃったんですぅ!

ジェシー:……ロベルタ姉さん、どゆこと?

ロベルタ:お昼にね、荷物を届けてくれたんだけど、そのあと行方が分からないんですって。

ジェシー:はぁ……相変わらず世話が焼けんな、世間知らずの嬢ちゃんはよ……。

エミリア:二日後ぐらい、ってどういうことだよ。

ジェシー:ワイバーン便の速達で手紙が来たんだよ。「船が見つかりました。カサンドラに行きます」って。

エミリア:ハァ!?

ルディアス:じゃあ、アネットさんはあなたに会いに、カサンドラへの依頼を選んだってこと……?

エミリア:あんたのせいかぁ……!

ジェシー:あ? 知らねぇよ、突っかかってくんなチビ。

エミリア:チ、ビィイイイ!?

ルディアス:え、エマ! ケンカしてる場合じゃないよ!

エミリア:うぐぅ……。

ジェシー:で? 足取りはどこまでわかってんだ。

ロベルタ:一時の鐘まではここにいたのよ。私と世間話をしながらお茶をして……。

ジェシー:なんか言ってたか。

ロベルタ:そうね……隊長さんは昼は寝てるって伝えたら、夕方また来るって。

ジェシー:姉さん。

ロベルタ:え、な、なに?

ジェシー:……いい加減、隊長さんじゃなくて名前で呼んでくれよ。な? ジェシーさんって。

ロベルタ:え? ええ、そうね?

エミリア:そういうの後にしてくれる!?

ジェシー:あぁ? アイツだってもうガキじゃねぇんだからそんなに心配しなくても……。

ルディアス:アネットさんの船室が荒らされてたんです!

ジェシー:おっとぉ……それは穏やかじゃねえな。

エミリア:だから焦ってんだってば!

ジェシー:わかったわかった。このジェシーさんに任せなさい。

ロベルタ:はい、コーヒー。

ジェシー:姉さん、俺はエールを頼んだと思うんだが。

ロベルタ:お仕事するならお酒はだめでしょ、ジェシーさん。

ジェシー:はぁー。で、その世間話の中で、なんか手がかりになりそうなこと言ってなかったのか。

ロベルタ:そうね、マリー・スミスって人、知らないかって聞かれたわ。

ジェシー:マリー・スミスゥ? そんなありふれた名前のやつ、カサンドラに何人いると思ってんだ。

エミリア:ロベルタさん、なんて答えたんだ? そこに行ってるかもしれない!

ロベルタ:ええっとぉ、知らないって、答えちゃったのよね。

エミリア:ええ!?

ロベルタ:だって、あの、心当たりがありすぎて。

エミリア:手掛かり、打ち止めぇ……。

ルディアス:……名前しかわからない人を探してるなら、郵便局とか?

ジェシー:そうだなぁ。行ってみるか。

ルディアス:一緒に来てくれるんですか?

ジェシー:いやぁ、なんつーか、俺の手の届く範囲でアネットになんかあったとなりゃあ、俺の親父にもアイツの親父にも、ハーシュマン家ご当主にも怒られるっつーか……。

エミリア:え、あんたらの関係って?

ジェシー:ん? 幼馴染。

エミリア:おさな、なじみ。

ジェシー:んじゃ改めて。国家戦空艇部隊・ジェイクス隊・隊長。ジェシー・ジェイクスだ。よろしくな。

エミリア:え。

ルディアス:え。

ジェシー:ん?

エミリア:えええええええええ!

ルディアス:……なんか、こんなの、この間やったばっかりだなぁ……。

■【次回予告】やってもやらなくてもいいよ!

ジェシー:姉さん、次の定休日は一緒に出掛けてくれるだろ?な? 

ロベルタ:ごめんなさい、私、心に決めた人がいるの。

ジェシー:はぁ、ゼロ勝・七十二敗。でも俺は諦めないぜ。

エミリア:こんな、こんなやつが、こんな軽いやつがジーンの息子だなんてぇええ……。

ルディアス:貿易港カサンドラでの任務中、姿を消してしまったアネット。

ルディアス:カフェ・トキワの店長、ロベルタさんと、戦空艇部隊・隊長、ジェシーさんの力を借りて、僕たちはアネットを助けるために動き出す!

エミリア:次回、「それは銀よりも重い手帳」 おっ楽しみにぃ!

【続く】次→#3

2021.10.29.

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