概要
貿易港カサンドラにて初任務をこなすブラック・ペレグリン号の3人。ところが、集合場所にアネットが現れない。ギクシャクした関係性、組んだばかりのチーム。それでも、仲間は、仲間だから。
※【伝声管】コップとか使うと楽しいかもしれません。おすすめは桃缶とかタンブラーといった金属製のもの。
- 所要時間:約30分
- 人数:5
比率 2:3 - ジャンル:ファンタジー、スチームパンク、冒険、ジュブナイル
登場人物
※キャラクター詳細は裂雲の翼トップページをご確認ください。
- エミリア
猪突猛進ガール。飛行士。 - ルディアス
紳士で気弱。整備士。 - アネット
貴族のお嬢様。航空士。 - ジェシー
戦空艇部隊(せんくうていぶたい)・隊長。軽い。ナンパ男。27歳。顔は良い。顔は。 - ロベルタ
カサンドラ中央区のカフェ・トキワの店長。いい女。年齢不詳。 - 受付
ジェシーと兼ね。男性。王立空艇士ギルド・カサンドラ支部受付のおっさん。(ジェシーと演じ分けできるように語尾・話し方などいじってもらってかまいません。)
本編
【前回までのあらすじ】(読み上げてもいいし読まなくてもいいよ!)
訳あって身分を偽り、飛空艇コンテストレースに参加したエミリアとルディアス。
見事優勝し、空艇士ギルドへ登録に向かうも、航空士(こうくうし)がいないと船の登録が出来ないと、書類を突き返されてしまった!
そんなとき、未登録の二人に「依頼」が入る。
六年前、世界を混乱に陥れた「大鼓動(だいこどう)」後、漂流島(ひょうりゅうとう)となった島を見つけ、
新・世界地図を作成するという大役を任された航空士・アネットをチームにいれ、共にこの任につくという依頼だった!
■モノローグ
アネット:地殻から浮き離れた大地を削り、ヒトは火によって、自然を制し恐怖を克服する。
吐き出す雲と黒煙は、やがて大空を覆い、海を酸に変えた。
これは罰なのだ。
灰色の天井のもと、太陽を忘れ、地中に生きるノームたちは、
いつか、その翼で雲を裂くことを夢に見て
空飛ぶ船で、島々を渡る。
■飛空艇内
ルディアス:(伝声管)エマ! 前方二時方向ハーピィの群れ、見えてる?
エミリア:見えてる、見つからないように進む。 エンジン止めて、帆を張って!
ルディアス:(伝声管)了解、浮遊石へのパワー供給五十パーセント、エンジン内圧下げるよ。
アネット:もっと低く飛びましょう。ルディさん、少し先に海水温が高いエリアがあるから上昇気流に乗れます。
ルディアス:(伝声管)わかった! ねえ、僕こんな安全運航はじめて!
アネット:これが普通ですよ。
エミリア:荒っぽくて悪かったわね……! こちとらお上品にお勉強なんてしてないのよ。
アネット:ではどこで飛行を習ったんです?
エミリア:……。
アネット:なるほど。
エミリア:何も言ってないわよ!
アネット:ええ。理論も体系も知らぬ我流だということが分かりました。
エミリア:……ちゃんと教わったわ!
アネット:誰から?
エミリア:それは……言えない。
アネット:言えないということは、ろくでもない筋の出ということです。……これは先が思いやられますね。空図も、航空術用の計器もなく、これまでどうやって飛んでいたんだか。
エミリア:風が読めれば道具なんていらないでしょ?
アネット:これだから野生児は。
エミリア:なんですって!?
アネット:ふん。
ルディアス:(伝声管)……確かに、アネットさんから見たら、多分ろくでもない生活をしてきたよ。
エミリア:ルディ!
ルディアス:(伝声管) でも、最初からそうだったわけじゃないし、そうするしかなかったし、僕たちにとってはそれが普通だったんだよ。……僕たちは必死に生きてきた。それだけだ。
アネット:……。
ルディアス:(伝声管) ただ、航空術を知らなくて困ってたのは確かなんだよなぁ……。今度、風の読み方とか、空図の書き方とか、よかったら教えてくれる?
アネット:……ええ。理解していただいた方が私もやりやすくなります。
エミリア:っでも! 行き先を決めるのはあたしだからね! 今回は、しかたなく、 あんたに従っただけ。
アネット:はぁ。
エミリア:勝手に依頼を受けるなんて信じらんない! しかもただの配達任務を十五件も! そんなの空艇士の仕事じゃないわよ!
アネット:いいえ、立派な仕事です。あなた方は駆け出しで資金がない。ギルドからの支援金は最低限です。カサンドラは貿易港ですから、カンタンで、まとめて受けられる配達任務がたくさんあります。まずは自分で稼がないと。
エミリア:あなた方って、あんたもチームの一員だからね! そんでもってあたしが船長! リーダー!
ルディアス:(伝声管)ケンカしないでよぉ……。
アネット:(同時)ケンカなんかじゃありませんよ。
エミリア:(同時)ケンカじゃない!
■貿易港カサンドラ、船着き場。
エミリア:おぉー! カサンドラってこんなに賑わってるの?
アネット:貿易港ですから。
エミリア:すごーい! いろんなお店! 道端で商売するなんて斬新ね。
ルディアス:たしかバザールって言うんだよ。懐かしいなぁ。
アネット:……それでは、手分けしましょう。各自配達が終わりましたら、ギルドのカサンドラ支部受付に集合ということで。では。
ルディアス:えっ、女の子一人は危ないよ!?
アネット:お構いなく。
ルディアス:ちょ、アネットさん! あ、あー、行っちゃった……。大丈夫なのかな。
エミリア:勝手にさせときなさいよ。本人がいいって言ってるんだから。
ルディアス:(独り言)カサンドラの治安、そんなに良くなかったと思ったけど……。
荷物庫で荷下ろしをするアネット。
エミリア:(ブツブツ)船長のあたしを差し置いて勝手なことばっかりあの女ァ……。……(気づき)あー!
ルディアス:な、何!?
エミリア:あいつゥ、一番軽いの持ってった!
ルディアス:ええ……。
■昼、カフェ・トキワ
ロベルタ:いらっしゃいませ。
アネット:こんにちは。こちら、カフェ・トキワさんでお間違いないですか?
ロベルタ:ええ。そうよ。
アネット:ロベルタさんに、お届け物です。
ロベルタ:あら、お客さんかと思ったわ。郵便屋さん?
アネット:いえ、空艇士です。
ロベルタ:あらあら! 女性の空艇士さんなんて珍しい!
アネット:そうですか?
ロベルタ:私がロベルタよ。中身を確認して受け取り証にサインするわ。好きなところに座ってお待ちになって。
アネット:カウンターでも?
ロベルタ:ええ、どうぞ。えーと、(小声)担当、ブラック・ペレグリン号……。
ロベルタ、アネットの名前に気づき、間を取り繕うように明るく次のセリフ。
ロベルタ:叔母からの荷物ね。やだ素敵!アスワンのガラス食器だわ!
アネット:これは……。高値で取引される理由がわかりますね。美しいです。
ロベルタ:え~! 使うのがもったいない!
アネット:差し出がましいようですが、道具は使われてこそですよ。
ロベルタ:そうね。 お客様にも楽しんでもらわないと。……はい、待たせてごめんなさいね。受取証よ。
アネット:ありがとうございます。ここ、紅茶を置いてるんですね。珍しい。
ロベルタ:そうなの! オオヤシマからの輸入品らしいわ。
アネット:らしい?
ロベルタ:あぁ、実は知り合いがね。私がカフェをやっていることを覚えてて、旅先から送ってくれたの。だから私が買い付けたわけじゃないのよ。
アネット:なるほど。オオヤシマへの航行はまだ危険が多いと聞きます。距離もありますし。
ロベルタ:そうなのよね。本当はもっと値段も下げたいんだけど。
アネット:……あの、少し時間があるので、注文をしてもいいですか?
ロベルタ:もちろんよ!
アネット:では紅茶とサンドイッチを。
ロベルタ:……コーヒーじゃなくて?
アネット:お金はあります。
ロベルタ:ごめんなさい。見た目で判断してはだめね、お若くみえたもので。
アネット:いいえ、実際駆け出しですから。
ロベルタ:かっこいいわね。じゃあ、早速このガラスのポットで紅茶、淹れてみましょ!
アネット:いいんですか?
ロベルタ:いいに決まってるじゃない。ちょっと待っててねぇ。
アネット:はい。
調理をするロベルタの様子をしばし伺い話しかける。
アネット:……あの、調理中に申し訳ございません。お尋ねしたいことがあって。
ロベルタ:どうぞー。いつもお客さんとおしゃべりしてるから大丈夫よ。
アネット:このあたりに、「マリー・スミス」という人はいませんか?
ロベルタ、一瞬手を止め、即答。
ロベルタ:……申し訳ないけど、知らないわね。
アネット:そうですか……。
ロベルタ:お力になれずごめんなさいね。
アネット:いえ、お気になさらず。では、戦空艇部隊(せんくうていぶたい)を見かけたことは?
ロベルタ:ああ、見回りのみなさんね。詰所(つめしょ)は南区にあるわ。一番治安が悪いからね。隊長さんはここに泊まってるけど。
アネット:ここに?
ロベルタ:ええ、うちは二階で宿をやってるの。詰所の仮眠室はベッドが固くていやなんですって。
アネット:はぁ……あいつらしい……。
ロベルタ:お知り合いなの?
アネット:はい。腐れ縁ですが、挨拶くらいしておこうかと。
ロベルタ:あらー、そうなの~! いいわねぇ!
アネット:あの、私たちの間には何も……。
ロベルタ:隊長さんはねぇ、昼間はずっと寝てるわよ。夜の見回りをしてくださってるから。
アネット:そうですか、では夕方ごろまた来ます。一度ギルドに戻らないといけないので。
ロベルタ:じゃあ伝えておくわね。可愛い女の子が会いに来たわよって。
アネット:やめてください。
ロベルタ:やぁだ、冗談よ。はい、サンドイッチ。お湯も沸いたわね。さ、イッツ・ショータイムよ!
アネット:ショータイム?
ロベルタ:紅茶の葉っぱってね、跳ねるのよ。
アネット:はねる。
ロベルタ:ガラスのポットだからきっとよく見えるわ。ほら、見てて……。
■夕方、ギルド、カサンドラ支部
SE入れる場合は鐘を四回。
疲れた様子で受付にもたれかかるエミリア。
受付:アネット・ハーシュマンさん?
エミリア:そう、ブラック・ペレグリンの。来てない?
受付:んー、まだ見てねぇなあ。
ルディアス:えぇ? 終わったらギルド集合って自分で言ってたのに……。
受付:終わってねぇんじゃねぇのかい?
エミリア:そんなわけねえんだよ、あいつ一個しか荷物持ってってねぇんだからさぁ。残り十四個、全部、俺たちが配達したのぉ!
ルディアス:どうどう。
受付:まあ、寄り道してんじゃねえのか? 女の子だろ? ここには店もいっぱいあるしな。な、他の分の受取証は揃ってんだろ? 待つんなら、その間に書類書いちまえよ。
ルディアス:ありがとうございます。……あ。
受付:ん?
ルディアス:書類……。
受付:書類。依頼書。
エミリア:どうした? ルディ。
ルディアス:アネットさんが、全部、持って……。
エミリア:ああああああ!
受付:はぁ、ギルド受付は日暮れまでだよ。
ルディアス:え? あ、えっと? 今何時ですか!?
受付:さっき四の鐘が鳴ったからなぁ、日暮れまであと二時間くらいか。
エミリア:はぁー。ルディ、アンタは一旦船を見てきて。
ルディアス:わ、わかった。
エミリア:お兄さん、この町にカフェって何件あんの?
受付:カフェ?
エミリア:依頼された荷物で、カフェへの届けものが一個あったの覚えててさ。俺らが運んでないってことはあいつが持ってったんだ。
受付:カフェは三件だ。北区、東区、中央区。
エミリア:サンキュー!
受付:ああ、そうだ、万が一、やべぇことになったら南区に戦空艇部隊の詰所(つめしょ)があるからそこに頼りな。
エミリア:戦空艇部隊って軍だろ?
受付:戦争してねえときは見回りしてんだよ。この町は人の出入りが多いからな。なぁんか巻き込まれてる可能性もある。
過剰反応するルディアス。
ルディアス:え、もしかして、誘、拐……?
エミリア:いやいやいや、あいつに限って……んなわけねぇ、よな?
ルディアス:いや、ハーシュマン家は、貴族だ。
エミリア:でもあいつ本家じゃねえだろ?
ルディアス:エマ、急ごう、早く見つけてあげないと。
エミリア:わかったよ! ルディは、船を確認して、中央区のカフェで合流だ。俺は北区と東区を回る。
ルディアス:分かった。
■倉庫
アネット:う……
アネット:ここ……どこ?
アネット:落ち着いて、落ち着いて、現状把握、分析、予測。一緒。飛んでる時とやることは一緒。
後ろから殴られて、どこかに連れてこられた。縛られている。犯人は、私に逃げられたくない。……人身売買?
周りには荷物……う、くさい……火薬のにおい。それから、肥料?
周りを見渡す。
アネット:ここは、倉庫。ということは、船着き場、南区。
アネット:この刻印……
■夕方、カフェ・トキワ
エミリア、走ってきた様子でドアを開ける。
エミリア:(息切れ)はぁ、はあ
ルディアス:エマ!
ロベルタ:ああ良かった、お連れさんね。
ルディアス:どうしよう、どうしよう、エマ、あ、あの、船が
エミリア:待って、ちょっと休ませて……
ロベルタ:坊や、お水よ。
エミリア:ありがとうございます。
エミリア、カウンターに置かれた水を飲む。
ルディアス:エマ、エマ、
エミリア:落ち着け!
ルディアス:だって、
エミリア:ルディ!
ルディアス:ひっ。
エミリア:状況説明。
ルディアス:ごめん。あの、船に戻ったら、船室が荒されてて……。
エミリア:うそ……。
ルディアス:船は無事で、どこも故障はしてなくて、僕らの私物とか、服とかが散乱してて。
エミリア:何がなくなってた?
ルディアス:僕の物は何も。多分、エマの物も無くなってない、と思う。
エミリア:うちの船に金目のものなんざ置いてないしな……。
ルディアス:アネットさんの船室が一番ひどかったんだ……。
エミリア:何かを探してた? 無差別じゃなく、狙ってやられたのか?
ロベルタ:アネットちゃん?
エミリア:え?
ロベルタ:アネット・ハーシュマンさんなら昼間ここに来たわよ。
エミリア:あ、ああそうだ、荷物、ここに届けにきたか?
ロベルタ:ええ。受け取って、紅茶とサンドイッチを食べていらっしゃって。
エミリア:俺らが這いずり回ってる間に優雅にランチかよっ!
ルディアス:そのあとは!? 何時くらいに店を出たんですか!?
ロベルタ:え? そうね、たしか、一時の鐘は一緒に聞いたから、その少しあとかしら。
エミリア:どこかに行くって言ってたか?
ロベルタ:えーと、一旦ギルドに戻るって言ってたわ。
エミリア:ちっ。
ロベルタに詰め寄るルディアス。
ルディアス:あの、なにか、アネットさんと話をしましたか?
ロベルタ:え、ええ?
奥の階段から男が降りてくる。
ジェシー:(あくび)ロベルタねぇさんー、腹減ったぁー。
ロベルタ:あら、隊長さん。
ジェシー:いやぁもー、始末書が多くて多くてぇ(あくび)とりあえず、エールとソーセージとバケット……
ロベルタ:あなた、アネットちゃんって知ってる?
ジェシー:アネット? なんで姉さんがアネットのこと知ってんの?
ロベルタ:あなたに会いに来たのよ。
ジェシー:もう来たのか? あぁ……二日後ぐらいかと思ってた……んでどこにいんの?
エミリア:ちょっとまてぇい!
ジェシー:んあ!?
ルディアス:アネットさんと知り合いなんですか!?
ジェシー:なんだ、こいつら。
ロベルタ:ギルドの空艇士さんたちよ。
エミリア:ブラック・ペレグリン号船長! エマニュエル・イアハート! こっちは整備士のルディオ。
ルディアス:アネットさんは航空士として僕たちの船に乗ってるんです。
ジェシー:ほー。で? アネットは?
エミリア:だからぁ!
ルディアス:いなくなっちゃったんですぅ!
ジェシー:……ロベルタ姉さん、どゆこと?
ロベルタ:お昼にね、荷物を届けてくれたんだけど、そのあと行方が分からないんですって。
ジェシー:はぁ……相変わらず世話が焼けんな、世間知らずの嬢ちゃんはよ……。
エミリア:二日後ぐらい、ってどういうことだよ。
ジェシー:ワイバーン便の速達で手紙が来たんだよ。「船が見つかりました。カサンドラに行きます」って。
エミリア:ハァ!?
ルディアス:じゃあ、アネットさんはあなたに会いに、カサンドラへの依頼を選んだってこと……?
エミリア:あんたのせいかぁ……!
ジェシー:あ? 知らねぇよ、突っかかってくんなチビ。
エミリア:チ、ビィイイイ!?
ルディアス:え、エマ! ケンカしてる場合じゃないよ!
エミリア:うぐぅ……。
ジェシー:で? 足取りはどこまでわかってんだ。
ロベルタ:一時の鐘まではここにいたのよ。私と世間話をしながらお茶をして……。
ジェシー:なんか言ってたか。
ロベルタ:そうね……隊長さんは昼は寝てるって伝えたら、夕方また来るって。
ジェシー:姉さん。
ロベルタ:え、な、なに?
ジェシー:……いい加減、隊長さんじゃなくて名前で呼んでくれよ。な? ジェシーさんって。
ロベルタ:え? ええ、そうね?
エミリア:そういうの後にしてくれる!?
ジェシー:あぁ? アイツだってもうガキじゃねぇんだからそんなに心配しなくても……。
ルディアス:アネットさんの船室が荒らされてたんです!
ジェシー:おっとぉ……それは穏やかじゃねえな。
エミリア:だから焦ってんだってば!
ジェシー:わかったわかった。このジェシーさんに任せなさい。
ロベルタ:はい、コーヒー。
ジェシー:姉さん、俺はエールを頼んだと思うんだが。
ロベルタ:お仕事するならお酒はだめでしょ、ジェシーさん。
ジェシー:はぁー。で、その世間話の中で、なんか手がかりになりそうなこと言ってなかったのか。
ロベルタ:そうね、マリー・スミスって人、知らないかって聞かれたわ。
ジェシー:マリー・スミスゥ? そんなありふれた名前のやつ、カサンドラに何人いると思ってんだ。
エミリア:ロベルタさん、なんて答えたんだ? そこに行ってるかもしれない!
ロベルタ:ええっとぉ、知らないって、答えちゃったのよね。
エミリア:ええ!?
ロベルタ:だって、あの、心当たりがありすぎて。
エミリア:手掛かり、打ち止めぇ……。
ルディアス:……名前しかわからない人を探してるなら、郵便局とか?
ジェシー:そうだなぁ。行ってみるか。
ルディアス:一緒に来てくれるんですか?
ジェシー:いやぁ、なんつーか、俺の手の届く範囲でアネットになんかあったとなりゃあ、俺の親父にもアイツの親父にも、ハーシュマン家ご当主にも怒られるっつーか……。
エミリア:え、あんたらの関係って?
ジェシー:ん? 幼馴染。
エミリア:おさな、なじみ。
ジェシー:んじゃ改めて。国家戦空艇部隊・ジェイクス隊・隊長。ジェシー・ジェイクスだ。よろしくな。
エミリア:え。
ルディアス:え。
ジェシー:ん?
エミリア:えええええええええ!
ルディアス:……なんか、こんなの、この間やったばっかりだなぁ……。
■【次回予告】やってもやらなくてもいいよ!
ジェシー:姉さん、次の定休日は一緒に出掛けてくれるだろ?な?
ロベルタ:ごめんなさい、私、心に決めた人がいるの。
ジェシー:はぁ、ゼロ勝・七十二敗。でも俺は諦めないぜ。
エミリア:こんな、こんなやつが、こんな軽いやつがジーンの息子だなんてぇええ……。
ルディアス:貿易港カサンドラでの任務中、姿を消してしまったアネット。
ルディアス:カフェ・トキワの店長、ロベルタさんと、戦空艇部隊・隊長、ジェシーさんの力を借りて、僕たちはアネットを助けるために動き出す!
エミリア:次回、「それは銀よりも重い手帳」 おっ楽しみにぃ!
【続く】次→#3
2021.10.29.