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AM5:25より

クリエイターズマッチングプロジェクト(https://sdr-cmp.com/) のストーリー部門に投稿した作品です。

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「不合格」
「不合格」
「不合格」

突きつけられた現実。
甘くはない、そんなことはわかってたつもりだった。
夢は、夢のままでいてくれたほうがどんなに良かったか。
合否発表までめくり続けたカレンダーの残骸が床に転がる。

―諦めて地元に帰ってきたら=?
お父さんも心配=してるよ?
あんたもいい歳だし、そろそろ===も考えないと
それに生きてるうちに=も見たいし~―

「ボーダフォンの絵文字は見られないって何度言ったらわかんのかな」

最近絵文字の使い方を覚えたらしい、
暗号のような母からのメッセージ。

「もう、涙なんて枯れたと思ってたのになぁ……」

嘆いても、動きたくなくても、腹は減る。
ゴミはでる。洗濯もしなきゃ。
ああ、生きていかないと。

空になったティッシュの箱を潰して、
お湯で溶かしたオニオンスープのカップを抱える。

遠い。
遠いなあ。

現実なんてそんなもんさとでもいうような
静かに反射するまんまるの白い月に手を伸ばす。
夜は、暗い。

「ん、ぁ、寒っ」

夢から引き上げられる。
夜明けの光が、瞼を刺す。

「……あ、きれー」

夢に向かって頑張ると決めて、一人でこの町に来た。
なんにも持っていなかった自分。
受け入れてくれたこの町を、朝日が照らす。

ずっと、いい子で、優等生で、生きてきた。
夢のために生きたいと、最初で最後のわがままをして。
家を飛び出して。

「まだ、ここにいたいなあ」

充電を忘れて、床に転がっていたケータイを手に取る。

―もうちょっと、頑張ってみるよ。お母さん。

「送信、っと」

<おわり>

2021.8.20.

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