お引越し中につき、あちこち工事がおわっておりません(特にショップ)。ネット声劇・個人での練習以外でご利用の際はご連絡くださいませ。

『お菓子屋レ・ボンボンの日常』【♂3:♀2】30分

概要

とある国の森の近く。町はずれにあるお菓子屋、「レ・ボンボン」と住民たちの、すこしおかしな普通の日常。ハロウィンの夜は、お菓子を身に着けていないと、連れていかれてしまうからね。

※ボイコネ版を移植しています。この作品は短編九話のオムニバス形式です。

  • 所要時間:約30分
  • 人数:5(♂3:♀2(少年1につき女性可)
  • ジャンル:ファンタジー、魔法、ハロウィン

登場人物

  • マシュー
       お菓子屋見習いの少年。レ・ボンボンで働いている。右足が義足。
  • シャーロット
    占い師見習いの少女。最近引っ越してきて、森の中のいかにもな洋館に住み込みで働いている。
  • レイ
    お菓子屋レ・ボンボンの店主。ド近眼。ド甘党。なんにでも砂糖をぶち込む。かつてロゼットの弟子だった。
  • ロゼット
    森の中のいかにもな洋館に住む魔女。町では占い師を名乗っている。人嫌い。ド甘党。
  • ジャック
    農家をやっている気さくなあんちゃん。実はロゼットによって人間の体に放り込まれた炎の精霊。

本編

■第一話
□お菓子屋店内、朝。
   開店準備中のマシューと出かけようとしているレイ。

マシュー:看板よーし! お菓子のレイアウトよーし!
  レジのおつり! ……よーし!

レイ:マシュー、すみませんがお昼過ぎまで店番よろしくお願いします。

マシュー:まかせてよ!

レイ:何度も言いますけど、勝手におまけしないこと。
  つまみ食いもダメですからね。
  見えてなくてもわかりますよ。

マシュー:ぎっくぅ。大丈夫、大丈夫だって。

レイ:お店の前の掃除も忘れずに、あと、室内で走らないこと。

マシュー:わかったから早く行きなって。もう時間過ぎてるよ。

レイ:……行ってきますね。

マシュー:はいはい、いってらっさーい

    レイ、店を出る。ドアベル。

マシュー:レイが居ない、これはチャンス!
  さっさと掃除終わらせて、試作タイムだ!

マシュー: 『第一話、お菓子屋やさんの一日』

   無人の店内。
   ドアが開き、シャーロットが入ってくる。

シャーロット:すみませーん。

   ドア閉め

シャーロット:あれ、プレートはオープンになってたんだけど
  ……すみませーん! 

   カウンター裏、カーテンの奥の部屋(キッチン)からマシューの返答。

マシュー:はーい! 今出まーす!
  ……うわっ、あっ、いってぇ! (転んだ)

シャーロット:あ、慌てなくても大丈夫ですよ! 

    カーテンが開き、マシューが現れる。

マシュー:お待たせしました!
  ごめんなさい、今僕一人で……。

シャーロット:あなたが店主さんなんですか? 

マシュー:え? あ、いやいや! ちがいます!
  店主が外出してて、店番です。

シャーロット:そうだったんですか。
  店主さんにもご挨拶したかったな。

マシュー:……もしかして最近来た人? 

シャーロット:そうなの。先日越してきて。
  ご挨拶が遅れてしまってごめんなさい。

マシュー:気にしないで。
  どおりで見ない顔だと思った!
  この町小さいからさ、みーんな顔見知りなんだ。

シャーロット:皆さん暖かく迎えてくださってよかったわ。
  私、シャーロットっていうの。よろしくね

マシュー:よろしく、シャーロット!
  僕はマシュー! パティシエ! の、見習い……。

シャーロット:ふふ。私は、占い師! の、見習い。

マシュー:ってことは、ロゼットおばさんのとこの? 

シャーロット:そう! 住み込みなの。

マシュー:うえぇ……
  へんなことさせられてない? 大丈夫? 

シャーロット:へんなこと……?
  えっと、普通におまじないのことなら教わってるけど……。

マシュー:普通に? 

シャーロット:普通に。

マシュー:えええ僕会う度ゲンコツされるよ!!
  お姉様とお呼び! って。

シャーロット:うーん……仲良しなのね! 

マシュー:仲良し、かなぁ……。
  ま、見習い仲間ってことで、よろしくお願いします! 

シャーロット:こちらこそ。

    笑顔のシャーロットと暫し見つめ合うマシュー。

マシュー:あーっと、お茶でもだそうか? 

シャーロット:ううん、他にも挨拶回りするつもりなの。
  お構いなく。いくつかお菓子、頂いていくね! 

マシュー:うんうん、今週のオススメはパンプキンマフィンだよ! 

シャーロット:全部美味しそうで迷っちゃう! 

マシュー:そうだ、ちょっとまってて……
  うお、いってぇ! (転けた)

    カウンター裏で転けたマシューに
    声をかけるだけのシャーロット。

シャーロット:大丈夫? 

    自分で立ち上がるマシュー。

マシュー:いててて……だいじょうぶ……。
  最近成長期みたいでさあ。
  右脚の長さが合わなくて。へへ。

シャーロット:義足なの? 

マシュー:事故でねー。
  もう体の一部だけどね。
  あ、ちょっとまっててね。

シャーロット:うん。

  カーテンの奥に引っ込むマシュー。すぐ戻ってくる。

マシュー:はいこれ!
  できたてホヤホヤの試作品! あげる!

シャーロット:マフィン!
  いただいていいの? ありがとう!

マシュー:お引越しお疲れ様ーと、ようこそーと、
  お菓子屋レ・ボンボンを、どうぞご贔屓に、ってね!


マシュー:『お菓子屋!』
レイ:『レボンボン』

■第二話

レイ:マシュー、キッチンを使うのはいいのですがね。
  片付けまでちゃんとしなさい。

マシュー:あっやべ……。

レイ:あと、何を何グラム使ったか
  測ってメモしておいてくださいといつもいつも……

マシュー:あーあーあー
  きこえなーいきこえなーい

レイ:『第二話、マシューの憂鬱』

□キッチン、夜。
    話しながら使った食材の量を計るマシューと
    ゆっくりタイプライターでメモをとるレイ。

マシュー:ねえねえねえレイ!
  ……小麦粉100グラム。

レイ:なんです? 

マシュー:はやく守りのまじない教えてよぉー
  ……砂糖70グラム。

レイ:70グラムと。
  まともなお菓子を作れるようになってからって
  いつも言ってるでしょう? 

マシュー:クッキー焼けるようになった! 

レイ:そうですねぇ……
  粉の分量を測ることをおぼえただけ進歩ですかね。

マシュー:なんでぇ!? まだダメなの!?
  バター100グラム! 

レイ:お菓子作りは繊細な作業なんです。
  そこに混ぜ物をしようというのだから
  生半可な技術じゃ失敗します。
  ……何を焦ってるんです? 

マシュー:今年も、ハロウィンに間に合わないなって……。

レイ:魔よけ道具を作りたいなら
  ジャックさんにかぼちゃランタンを習えばいいでしょう? 

マシュー:僕はお菓子が食べたい。

レイ:はあ、そっちが本音ですね。

マシュー:レイのことは本気で尊敬してるんだよ!!
  お菓子おいしいし、
  レイのおかげで姉さんは助かったんだから。

レイ:でもお姉さんは都会の病院に……。

マシュー:生きてるんだからいいんだよ。
  いつか起きるって。

レイ:……お姉さんが起きる前に、
  ケーキくらい作れるようになりましょうね。

マシュー:おー! 

レイ:ならまず、
  この生クリームを3分で泡立てて下さい。

マシュー:げっ……この量を、手で? 

レイ:手で。

マシュー:はぁい……うおおおおおおお

ジャック:『お菓子屋!』

マシュー:『レボンボン!』

■第三話
□八百屋、屋外。昼。

   巨大なカボチャを運ぶジャック。

ジャック:よっ、とぉ!!

ジャック:はぁー、今年もりっぱに育ったな!
  んー。例年よりでかいなあ。
  こりゃ、くりぬくのだるそうだ……
  こう、もっと楽ちんに……。

   少し遠くから手を振るマシュー。

マシュー: ジャックー!

ジャック:よォマシュー! 買出しか?

ジャック:『第三話、かぼちゃタルトがお好き』

   作業台に座るマシュー。

マシュー:今日はかぼちゃ三個とナス五個とー、
  ほうれん草一束!
  あ、ランタン用じゃなくて、食べるのね! 

ジャック:なんだぁ、ランタンやらねえつもりか? 

マシュー:ランタン用はまた買いに来るよ。

ジャック:ああ、そうか。まだはええもんな。

マシュー:かぼちゃタルトとキッシュつくるんだって。

ジャック:ほお、あいつ甘くねえもんも作れんだな。

マシュー:僕が止めてるんだ、
  なんにでも砂糖入れようとするの。

ジャック:あぁ、苦労してんだな。

マシュー:ねえ、いつからレイはあんな甘党になっちゃったの。

ジャック:んー俺が出会った時は既にアレだったぞ。

マシュー:そういやいつ知り合ったのさ? 

ジャック:レイがロゼットんとこに弟子入りしに来た時だよ。

マシュー:じゃあこの街に来た頃にはもう激甘党だったのか。

ジャック:あれは生まれつきじゃねーか?
  なつかしーな、
  可愛い顔して憎たらしいガキだったぜ。

マシュー:え、ガキって、ジャック、いまいくつ?

ジャック:そりゃあ聞かないお約束ってもんだろ?

マシュー:ちぇ。ロゼットおばさんといいジャックといい、
  みんな謎だよなー。

ジャック:ははっ、どんなやつでも受け入れてくれる、
  それがこの街の良いとこだろ。

マシュー:そりゃあね。僕も大好きだもんココ。

ジャック:ほい。リュックに入れるぜ。

マシュー:ありがと。はい、お代。

ジャック:まいど。なあなあ、
  タルト、出来たら食わせてくれよ! 

マシュー:もっちろん!
  美味しすぎてびっくりしちゃうから! 

ロゼット:『お菓子屋』
シャーロット:『レボンボン』

■第四話
□町外れの森、昼。
   配達用リュックサックを背負ったマシュー。

マシュー:ううう……あいかわらず! この! 森! 

   鳥が飛び立つ。

マシュー:ひぃっ! 昼なのに真っ暗だし……
  シャーロットは怖くないのかなあ……
  整備しようよ……。

シャーロット: 『第四話、占い師の館』

□ロゼットの館、門のあたり。
    箒で掃除しているシャーロット

マシュー:やあっと抜けたぁ! 

シャーロット:マシューくーん! こんにちは! 

マシュー:やっほー! シャーロット!

シャーロット:今日はどうしたの? 

マシュー:お菓子の配達!
 (ささやき)ロゼットおばさんからの注文。

ロゼット:お姉さんとお呼び!!

マシュー:いってええええ!! どっから見てたんだよ! 

ロゼット:何度言ったらわかるのかしらこのクソガキ

シャーロット:ロゼット先生! 

マシュー:くぅう……シャーロットぉ……
  ちょっとは心配してよぉ。

シャーロット:あ、ごめんね。大丈夫? 

マシュー:……あのね、騙されちゃダメだよ。
  この人僕が物心ついたころからこの見た目だk

ロゼット:おだまり!

マシュー:いってええええ!

ロゼット:永遠の美しさを保つための努力のたまものよ。

シャーロット:それで、何を注文なさったんですか? 

ロゼット:マフィンよ、マフィン!
  もう! 遅いんだから!
  糖分がなきゃやってらんないわ! 

シャーロット:あの大量のお菓子、
  レ・ボンボンさんのだったんだ。
  先生、ちゃんとお食事もなさってください。

マシュー:これで太らないんだから詐欺だよn

ロゼット:ふん!

マシュー:いってえええ! 

ロゼット:シャル、覚えておきなさい、
  糖分は、魔力に転化するのよ。

シャーロット:そうなんですね! 

マシュー:おばさん、残念だったね!
  今回のは、糖分控えめ、
  おいしーへるしーにしてあるから! ざまあ! 

ロゼット:あらそう、おいしければ問題ないわ。

ロゼット:ふうん……レイに伝言、
  術式の省略、ミスってるわよ。

マシュー:まじか……まいどー。


レイ:『お菓子屋』
ロゼット:『レボンボン』

■第五話
   お菓子屋、昼。

レイ:やっぱりノンシュガーストレートティーには慣れませんねぇ。

レイ:砂糖……ちょっとぐらい……
  いや……うーん。

レイ:マシューいないしバレなきゃいいですよね!

ロゼット:『第五話、甘党談義に花が咲く』

   ドアが開きロゼットが入店。

レイ:いらっしゃ……ロゼット?
  めずらしいですね。

ロゼット:レイ。

レイ:……なにかな。

ロゼット:あんた曲がりなりにも私の元弟子のくせに、
  なによ、あのお粗末な術は! 

レイ:はぁ、やっぱりだめかー。
  チョコアンドパンプキン、
  いいと思ったんですがねぇ

ロゼット:ダメに決まってるわ!
  あれじゃあ二つの効果が相殺してしまう!
  大体守りと攻撃を混ぜ合わせるなんて馬鹿じゃないの! 

  やるならカウンターにしなさい!
  隠遁系には鏡の守りをつけるのが定石! 忘れた?
  あと! キャロットマフィンの省略式!
  できないならやるな! 

レイ:ふふ、ありがとうございます

ロゼット:なによ

レイ:わざわざ面倒見に来てくれて

ロゼット:ち、違うわよ、私はね!
  味のことを言いに来たの。
  おいしかったけどもっと甘くして。

レイ:今回は野菜の自然な甘味を
  前面に出そうと思って砂糖を控えてみたんです

ロゼット:控えなくていいわよ!
  ぜんっぜんたりないわ!
  あんたらしくない。

レイ:マシューの提案ですよ。
  素材の味をもっと出そうって

ロゼット:なんでよ!?
  甘いほうがいいに決まってるじゃないバカなの……

    話しながらロゼットの分の紅茶を淹れるレイ。

レイ:ふふ、相変わらず燃費が悪いんですね。
  砂糖は五つ? 

ロゼット:七つよ……
  あのクソガキ、ちゃんとしつけなさいよ。

レイ:最近上手くなってますよ。
  お菓子づくり。

ロゼット:ちがう!!!
  礼儀をしつけなさいよ!! 

レイ:子供らしくていいじゃないですか。
  そんなカリカリなさらずに。

  ……そういや、弟子をとったそうですね、珍しく。

ロゼット:あぁ、あんたより百倍筋いいわよあの子。

レイ:立ち直ったみたいでよかった。

ロゼット:……誰かさんの二の舞にはさせないわ。

シャーロット:『お菓子屋』
ジャック:『レボンボン!』

■第六話
□街中、大通り、昼。
   マシューがお菓子を売り歩いている。

マシュー:ハッピーハロウィン! お菓子はいらんかね〜

   マシューの近くのカボチャランタンが
   燃え上がり、炎の中からジャックが出てくる。

ジャック:よっと。よし、このランタンも問題なしだな。

マシュー:ジャック! 

ジャック:よぉマシュー。今年もよろしくなぁ。

マシュー:巡回ごくろうさまです!
  なんかいつもよりランタン多いね。

ジャック:今年はきなくせぇからな。
  ちょっと派手めにしたんだぜー! 

マシュー:きなくさいって? 

ジャック:なんかざわざわすんだよなー。
  まっ、取り越し苦労かもしれないが。

マシュー:えーこわ。ちゃんと守ってよね、大人でしょ? 

ジャック:まかせろぃ。
  お前もガキどもにちゃんと菓子配れよ! 

   ジャック役、可能なら指パッチン。
   カボチャランタンが燃え出す。

ジャック:じゃあな! 

   炎に吸い込まれるジャック。

マシュー:まかせろぃ!


シャーロット:『第六話、ディスイズハロウィン』

マシュー:ハッピーハロウィーン!
  お菓子はいらんかね~。

シャーロット:マシュー君!
  売れ行きはどう? 

マシュー:シャーロット!
  大荷物だね、大丈夫? 

シャーロット:先生におつかい頼まれたの。
  それで、本日のラインナップは? 

マシュー:レイの新作、二色マフィンが人気かな。
  僕の開発したびっくりぱちぱちキャンディも
  なかなかいいと思うんだけど、
  みんなこの魅力、わかんないかなあ。

シャーロット:ふふっ、マシュー君のお菓子は
  いつも楽しいわ。私にもひとつずつくださいな。

マシュー:まいどあり! 紙袋に一緒に入れるね。
  あ、あとこれ!
  ハロウィン当日限定キャンディレイだよ~。

シャーロット:わあ! かわいい!
  これ、子供たちが首にかけてるやつね? 

マシュー:そそ。おチビたちみんなにプレゼントなんだ

シャーロット:私、おチビって歳でもないけど貰っていいの? 

マシュー:17超えてたっけ? 

シャーロット:ううん。まだ。

マシュー:じゃああげるあげる〜。
  まあ超えてても、
  シャーロットにならあげるけど。えへへ……

シャーロット:……17歳だとなにかあるの? 

マシュー:んー……シャーロット、お菓子は、
  日が落ちる前に食べてね。
  あとなるべくそれ、身に着けといて。

シャーロット:どうして? 

マシュー:この町、通り道なんだ。

シャーロット:通り道? 

マシュー:おばけたちの。

シャーロット:え。

マシュー:連れていかれないように、
  お菓子が守ってくれるから

シャーロット:どういう意味? 

マシュー:そのまんまの意味!
  じゃあ僕、丘の上の孤児院のほうに行ってくるから!
  美味しく召し上がれー!【セリフ中足音】 

■第七話

ジャック:『第七話、嘆きの魔女』

□ロゼットの部屋、夕方。

ロゼット:可笑しい、
  こんなに霊魂が集まってるなんて……
  何かが起きてる。

    室内のカボチャランタンが燃え上がり、
    ジャックが炎から出てくる。

ジャック:よっと。ロゼット!

ロゼット:ジャック、何かあったの? 

ジャック:出やがった!ランク「魔女(ウィッチ)」だ!

ロゼット:場所は。

ジャック:嘆きの丘、嬢ちゃんがやばい!

ロゼット:シャルが!?
  帰りが遅いとおもったら……
  アンタ、ちゃんと結界張らなかったの!? 

ジャック:やつらいつもより一体一体強いし、
  多いんだよ!!
  あちこち穴開けられてんだ、
  俺だって何が何だか!!

ロゼット:甘く見てたわ。おそらく、
  シャルの魔力に引き寄せられてる。

ジャック:あぁ!? ぜんっぜんそうは見えねぇが……
  あの嬢ちゃん、そんなに魔力多いのか。

ロゼット:匂いでわからない? 

ジャック:花粉症なんだよこの体。

ロゼット:はあ、成長途中だけど、
  器だけならレイを超えるわよ……
  無事なんでしょうね。

ジャック:子供をかばったみてぇだ。
  今はレイが抑えてる。

ロゼット:まだあの子一人じゃ
  「ウィッチ」は祓えない……っ、また、私は……

ジャック:そういうのはあとだ。
  しっかりしてくれ!
  お前しか頼れねぇんだから。

ロゼット:ええ……悪かったわ。

ジャック:準備はいいか? 飛ぶぞ

ロゼット:早くして!

ジャック:導けランタン、
  我はジャックの名を持つもの、
  かぼちゃの王なり!

■第八話


ロゼット:『第八話、愛と哀と逢と(あいと、あいと、あいと)』

ジャック:よっ

  からだを締め付けられている
  マシューの悲鳴が響いている。
  他キャラセリフ裏でしばらく叫び続け
  好きなところで気絶。

マシュー:あああああああああああ

ジャック:マシュー!? 

ロゼット:シャル!!

シャーロット:先生っ!! マシューくんが!

   シャーロットに駆け寄り肩を抱くロゼット。

ロゼット:無事!? 

シャーロット:私とエミリーちゃんを助けようとして代わりにっ

ロゼット:シャル、落ち着いて。
  大丈夫。私がいるから。落ち着いて

    息が荒いシャーロット。

シャーロット:はっ、わた、わたしのせいで、
  わたしがわるい、わたしが、
  ごめんなさい、ごめんなさい
  (以下「ごめんなさい」とつぶやき続ける)

    少し離れたところでウィッチを魔法で抑えているレイ。

レイ:くっ……ロゼット!
  早く手を貸してくれ!

ロゼット:ジャック、ここは私がどうにかするから、
  あんたは他の所守って。

ジャック:いや、え、でも、大丈夫なのか。

ロゼット:命令よ。

ジャック:うっ、この、体が勝手に!
 くそ、忌々しい契約だ! 

ロゼット:お願いね。

ジャック:命令だろうが!
  しゃあねえな、まかせろぃ!

ロゼット:シャル、手伝ってほしいの。

シャーロット:ごめんなさ、え、せんせ? 

ロゼット:あの霊魂はとても強い。
  あなたの手が必要よ。

シャーロット:わたし、駄目な子で、
  そんなことできない。

ロゼット:私の弟子が駄目なわけないでしょ!
  できないじゃないの、やるのよ。
  クソガキを助けたいなら!

シャーロット:駄目じゃない? 

ロゼット:当たり前でしょ。
  私が育ててるんだから
  ちゃんと力はあるのよ。いい? 

  自分を信じられないなら、私を信じなさい。

シャーロット:先生を……。

レイ:ロゼット! 結界が割れる!

ロゼット:呪文は覚えてるわね。

シャーロット:はい。

   シャーロットの手を引いてレイに寄るロゼット。

ロゼット:待たせたわ!

レイ:待ちくたびれましたよ! 

   レイの結界割れる

ロゼット:南風(みなみかぜ)の吐息、北風の涙

シャーロット:暖炉で、跳ねる、くるみの殻。
  ホットミルクに、ひとさじのはちみつ。

ロゼット:シャル、続けて!

ロゼット:さあ困った小さな魔女子(まじょこ)ちゃん、
  私と遊びましょう。
  その子は返してね。

    余裕のロゼットと息絶え絶えなレイ。

レイ:君は、愛されていただろう、
  思い出して、さあ甘いお菓子をあげよう。
  イタズラは終わりだ。

ロゼット:そこは寒いでしょう?
  こっちへ来なさいな。いい子ね。

レイ:大丈夫、寂しくない。
  置いていかれてない。
  君の道はあっちだ、
  このランタンを持っておゆき。

ロゼット:お眠りなさい、甘く、
  暖かい、まどろみのなかに。

シャーロット:幼き御魂(みたま)の往く(ゆく)道よ、
  光とともに、安らかにあれ……!

■第九話
□お菓子屋店内、朝。

   誰もいない店内。

シャーロット:すみませーん

   カーテン裏から声をかけるマシュー。

マシュー:はーい、今でまーす!

マシュー:いらっしゃいま、シャーロット!

シャーロット:マシューくん、具合はどう? 

マシュー:ご覧の通り!ピンピンして……うぉ

シャーロット:あぁあ!無理しないの!

   ふらついたマシューに
   カウンターを回り込んで駆け寄るシャーロット。

マシュー:やっぱごっそり体力持ってかれたなぁ

シャーロット:だと思って、お薬、持ってきたの

マシュー:……おばさんの? 

シャーロット:私が作りました。助けてくれたお礼。

マシュー:ならちゃんと飲む!

シャーロット:先生の薬の方が効果は高いのに。

マシュー:すっごくまずいから無理。

シャーロット:はい、座ってね。

マシュー:ありがとう。
  シャーロットも、その辺の椅子使って。

シャーロット:うん、ありがとう。

マシュー:……あー、なんか、雰囲気変わったね?

シャーロット:あ、そう、かな? 

マシュー:ちょっと落ち着いた?

シャーロット:そうかな。

マシュー:僕は今の方が好き

シャーロット:えっ? 

マシュー:自然な感じがする。

シャーロット:えっと、そうだ、レイさんは? 

マシュー:オトナたちは町会議(ちょうかいぎ)だよ。
  おばさん呼ばれなかった? 

シャーロット:明け方に出かけちゃったんだけど……。

マシュー:あぁー逃げたんだ。

シャーロット:先生ったら……

マシュー:(小さく笑い)

シャーロット:会議って、なんの話してるのかな。

マシュー:みんな、ずっとおばけとか、
  魔女とか魔法とか信じなかったんだ。
  散々対策すべきだってレイは言ってたけど。
  今回連れ去り未遂が出たから、
  さすがに町長たちも、何か動くと思う。

シャーロット:それで占い師って名乗ってたのね、先生。

マシュー:シャーロットは知ってたわけ?
  ロゼットおばさんが魔術師だってこと。

シャーロット:知ってたわ。私の学院の卒業生で、
  弟子をすぐ破門するって結構有名なの。

マシュー:あぁなるほど。
  じゃあもともと魔術の勉強はしてたのね。

シャーロット:うん。やっぱり肩身は狭いけどね。
  一人前になったら、私も先生みたいに故郷を守りたい。

マシュー:ふーん、いつかここを出ちゃうのか。

シャーロット:でもまだ先。
  先生、私に経験を積ませるために
  わざと手伝えだなんて言ったんだわ。
  まだまだいっぱい勉強しなくちゃ。

マシュー:へへっ、じゃあ見習い同士
  もっともっとがんばろーってことで、はい!

シャーロット:わあ!かわいいマフィン!いいの? 

マシュー:お菓子屋レ・ボンボンを、これからもよろしくってね!

マシュー:『第九話、お菓子屋レボンボンの、日常』

初版 16.10.01~17.10.31.
リメイク 19.09.16.

NO IMAGE

簡易利用規約

サイト内の文章は、
・非営利目的の利用の場合:無料・報告不要
・商用利用の場合:有料
・比率/人数変更:可
・演者の性別は問わない
・役の性別の変更:台本による
・軽微な変更:可
・アドリブ:可
→詳細は利用規約をご確認ください。